TERAISM

テラです。曲や絵、動画などを作っています。

Underdog

一番好きなASMRのジャンルは「指のタップ音」、どうもテラです。指で指を叩くタプタプ音がたまらないですよね。

さて、今回もいつものように楽曲解説をつらつらと綴っていこうと思います。このブログを経て、今作に対し新たな見解を見つけたり、深く没入してくれたりしたなら僕としては嬉しい限りでございます。それでは早速いきましょう。

 

 


■テーマ

 

youtu.be


まず曲の概要について。
今作のテーマは「劣等感」です。
皆さんは他者と自分とを比較して、その間にある差や違いに悩んだことはありませんか?
例えを出すなら、テストの点数、50m走のタイム、カラオケの得点、収入の多さ、なんていう数での優劣。または、どれだけ優しいか、どれだけ面白いか、どれだけ可愛いか、格好いいか、なんていう数値化不可なところでの優劣。
努力でなんとかなるものもきっとあるとは思いますが、悩みに関わるものは大抵が努力ではカバーしきれないものだろうと思います。
創作者なんていう立場も、日々こういった悩みに苛まれているものです。僕もそんな一派のひとりです。人からの評価とか、運の良さとか、技術以前にどうしようもないものが付きまとってて、そういった類の「自分と他者の差」を見つめてはその度に「なんで俺はこんなにダメなんだ…」と肩を竦めたりする。何もやる気が起きなくなって、気付いたら何も創作しないまま一日が終わってしまったりする。落ち込みすぎて「励まし彼女」なるASMR動画を聞き始めたりする(※実話)

「そんなに傷を負ってまで創作やるのってどうなの」というご意見はごもっともです。しかし今回はそこを逆手にとって、敢えて焦点にして、僕自身が抱える苦悩をそのまま歌として形にしてみた次第でございます。こんな下らないエピソードの割には、結構かっこよく仕上がったのではないでしょうか。

 

 

 

■タイトル

"Underdog"、日本語で「負け犬」って意味です。
今作を作っている期間は、何に対しても「自分は劣ってる」と感じてしまっていて、かなり精神が擦り切れた思いで日々を過ごしていました。
自分は自己肯定感をある程度持っている人間だと思い込んでた分、そんな状態の自分に気づいた時はびっくりでした。ふと自分を客観視してみたら、「俺って負け犬じゃん」と思ってしまった…タイトルはそんな出来事が由来となっています。

負け犬って生き物は、「負け」と書いてある割に実は誰よりも負けず嫌いで、それと同時に誰よりも劣等感に敏感なんですよね。だからこそ、「世の中勝ち負けじゃないよね」とか言ってる奴に限って勝敗に執着するし、「人の価値は数字じゃないよね」とか言ってる奴に限って隣の席のやつに「今回地理何点だった?」とか聞き出すし、「ゲームは楽しんでやらなきゃね」とか言ってる奴に限ってスマブラで負けたら「コントローラー反応せんかっただけやし」とか言い訳するんですよ。まあこれ全部僕なんですけど。

 

 


■詞

今回の歌詞は僕の作品では珍しく、パーソナルな部分の描写が多くなりました。僕が僕自身を表そうとした結果だから当然っちゃ当然なのですが、こういう作風の曲を投稿したのは初めてなので新鮮ですね。
捉え方によっちゃただの愚痴みたいにも聞こえてしまうんで、正直皆さんにどう思われるのか不安な部分はあったんですが、これも僕という人間の一部だということをちゃんと表明しておかないといけない気がしたので、作品として昇華させ、公開させていただいた次第でございます。もしもお口に合ったのであれば幸いです。

それにしてもかなり卑屈な描写が多くなってしまいましたね。ですがやっぱり、偉大な功績を収めた人だとか、どデカい勝利を遂げた人だとか、凄い人が沢山いる世の中だとどうしても嫉妬の念は生まれてしまうもんで、卑屈な表現も自然と出てしまうんです。もはや条件反射みたいなものです。「敗者」が「敗者」から抜け出せない間は、「勝者」はいつまでも輝かしく、羨ましく、恨めしく見えてしまうもんなんです。みっともないですね。ホントお見苦しくて申し訳ない。

そんな負け犬の自分、輝かしい人間になんて到底太刀打ちできない…ならば、せめて「勝者」である奴らよりも長く息をして、奴らよりも長く生きられたなら、それは僕の勝ちということにしようじゃないか。というような言い分で今作の詞は締めくくられています。
一見、対戦相手の死に際を待機し、その死を喜ぶ、性格も往生際も悪い勝負師みたいな主張に見えますが、これは決して「卑怯な思考」でも「溜飲が下がる思い」でも「せこい不戦勝」でもありません。これは「忍耐の賜物」であり「爽快な達成感」であり「正真正銘の完全勝利」です。ネガティブな人生観からの、絞り出したかのような精一杯のポジディブです。
だって、辛酸舐めながら生きた人間が、幾度の局面で挫けながらも辛酸舐め続けた結果、やっとこさ「勝者」を追い越したその瞬間ぐらい、喜ぶべきだと思うんですよね。「勝った」と胸張って言えるべきだと思うんですよね。そういった思いのもと、今作はあのような詞で幕を閉じることに決めたのです。無理矢理にでも前を向けるような、そんな締め方にしたかったのです。
そういや、天才は短命ってよく言いますよね。ならば勝機はあります。負け犬万歳、長生きして最後の最後に笑ってやりましょう。毎日ちゃんと8時間は寝ようね。

 

 


■曲

前々々作がジャズ、前々作がクリスマスソング、前作がエレクトロときて、その反動なのか今作はゴリゴリのロックとなりました。ロックな曲調は「肺胞に潜る」以来ですね。
楽器編成はわかりやすくギター、ベース、ドラムのみで、その他の楽器を一切使わない素直なバンドサウンドを提供できたのではないかと思います。
しかしながら、実は使ってるコードが不協和音コードばっかだったり、一曲を通しての緩急がめちゃくちゃ激しかったりで、曲の展開自体は全然素直じゃなくて、むしろかなり捻くれ者です。タイトルに恥じない「外道感」を目指したために、このような構成になりました。精一杯走ったと思えばすぐに息切れして減速したり、生気満々で力強く挑んだらこてんぱんにやられたり…山あり谷あり、躁鬱入れ替わる負け犬魂を上手く音楽に落とし込めたのではないでしょうか。

そして、今作は僕のv flower処女作でもあります。
今年一月にTwitterで「v flower購入しました」という報告をしてから約五ヶ月、漸く彼女に出番が訪れました。以前からずうっと使用したい気持ちはあったのですが、タイミングなど色々問題があってなかなか使う機会がありませんでした。焦らしに焦らしまくった末、やっと起用できたことを喜ばしく思います。うちの花ちゃんいかがでしたか?

 

 


■裏話

実を言いますと、前作「ナイトメア・アクアリウム」を投稿した時点では、今作じゃない別の曲を次回作にする予定でいました。しかし、その別の曲のMV作業に取り掛かっている合間、休憩がてら曲を作っていたら図らずもこの曲が生まれてしまいまして。そしてそれを仕上げていく内に段々と、「自分の気持ちとリンクしてる今この瞬間にこの曲を投稿しないと、曲に乗せた自分自身の思いが風化する」という思いが込み上げてきたために、この曲をストックとすることをやめ、順を押しのけて先に投稿しようと思い立ったわけです。

そしてここでちょっとした裏話を。
約一週間ほど前、Twitterにて「今月新曲投稿します」といった旨のツイートをしたわけなんですが、実はこの時点ではミックスはおろかオケすら完成していませんでした。当然ボカロの打ち込みもしてないし絵だって何も用意してない。あるのは歌詞と進捗40%ぐらいのオケのみ。
だけど、前述の通り「すぐさまこの曲をあげないと!」という思いがあったために、後先をあまり考えずその時の衝動だけで予告ツイートをしてしまったわけです。作業中の僕からしたらそれはそれは傍迷惑なクライアントですよ。納期一週間て鬼か。

 

 

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(その裏事情を知っていた友人からの煽りリプライの図)

また、「強引にでも投稿頻度をあげたい」と思っていたから、というのも理由の一つであります。最近の僕のボカロP活動といいますと、前作が4ヶ月ぶりの投稿だったり、曲じゃなくて絵ばっか描いてたりで、なかなか動画の投稿頻度を上げようとしなかったんですよね。怠惰なボカロP根性から改めて気を引き締める目的でこのツイートをしたわけなんですが、内心は間に合うのかどうか不安で不安で仕方なかったです。しかし無事予定通り投稿できて良かったです。これを機に、コンスタントに動画を投稿する癖を培っておきたいですね。もう、数ヶ月間隔を空けるようなことはあんまりしたくない…

 

 


■絵・動画

そういった(自分で課した)納期の問題もあり、今回の絵はあまり複雑なデザインにせずに仕上げました。ベタ塗りの簡素なタッチ、だけど目元周りの描写は繊細に、を心がけました。パキッとした色使いがアクセントになってて、いい感じになったのではないでしょうか。


結果、絵はかなりシンプルに、そしてかなり早いスピードで仕上がってしまったのです。これは凝り性な僕の性格上、困ったことなのです。なぜなら、「このままいつも通り一枚絵MV作ってもつまらんなあ」と、そう思っちゃったからです。

そこから「せっかくだから凝った編集に挑戦してみよう」というスイッチが入るのにあまり時間はかかりませんでした。てなわけで今作は動画編集にかなり力が入っています。目まぐるしい演出により、見る者を退屈させない工夫を凝らしてみました。いかがだったでしょうか。
編集始める前は「今回はアニメMVじゃないし今までよりかはまだ楽だろうなあ」とかほざいてたんですが、動画編集も掘り下げていけばアニメ制作に負けず劣らず大変な作業になるんだということを思い知らされましたね。たった数分のために費やした時間は丸五日、全然楽なんかじゃなかったです。
とはいえ、動画師っていう称号においては僕はまだまだズブの素人です。ここからステップアップしていくなかで、今後恐らくもっと大変な作業を強いられるのでしょうから、本当はこんなとこで弱音吐いてられないです。
先日はニコニコ大百科にて僕の名前に「動画師」という表記を加えて頂いたりもしたので、その名に恥じない技術を磨いていきたいですね。

 

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「テラとは (テラとは) [単語記事] - ニコニコ大百科」より

 

 

 

■まとめ

というわけで、ギリッギリで連月投稿を果たした今作でした。この調子で、月イチペースの投稿を目指していきたいナーなんて考えてます。なにも発表できずにいつまでも負け犬の遠吠えなんて、嫌ですからね。

モチベーション維持にも繋がりますので、よければ動画コメント欄などで感想聞かせて頂けると幸いです。Twitterでの感想リプもとっても嬉しいので送って頂けると泣いて喜びます。泣いて喜びながらリプくれた人の顔ペロペロします。犬なので。
…いや冗談冗談!リプ消そうとしないで!!

色々綴ってはきましたが、"いま成功して幸せな人生を送っている「勝者」だって、もともとは失敗や敗北を繰り返す「負け犬」で、努力や鍛錬を積み重ねたからこそ今幸せでいられてるのだ"、なんてことはよくある話ですから、それを見習ってあんまり卑屈にならないでこれからも努めていきたいですね。

実は今作の真のコンセプトはそういうところにあったりしてて、結局負け犬脱却するためにはやるしかないってことなんですよね。卑屈はこれでおしまい。また泥を啜りながらでも前を向いてみます。

 

次回作もお楽しみに。
それでは。

 

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