TERAISM

テラです。曲や絵、動画などを作っています。

草々不一

 

Nintendo Switch発売されたのもう3年前だなんて信じたくないです。
どうもご無沙汰、テラです。「ご無沙汰」がデフォルトみたいになってきましたね。
 
 
 
さあて今回は約9ヶ月半ぶりに投稿しました最新作「草々不一」について解説をしていきたいと思います。9ヶ月ってやばいですね。そっちのほうが信じたくない。
当然ながら解説ブログ書くの自体も9ヶ月ぶりです。久々の執筆でドキドキしてきました。書き方ほぼ忘れてます。太字ってどうやるんだっけ?
 
 
 
■テーマ・概要
 
 
今作のテーマを強いて挙げるとするならば「別れ」でしょうか。ざっくりではありますが、一言で表すのであればこの言葉が最適解な気がします。
いつもの楽曲解説ならズバッと答えてるこの項目ですが、今回に限ってなぜこんなにも曖昧な答え方をしているのかと言いますと、今作はいつものようにテーマから作るのではなく、物語を一から自作し、それをベースとしてガッチガチに設定を固めてから曲を作ってみようという僕自身初の試みをしたからというのが理由でございます。つまり、「後天的に別れというテーマが付いた」という認識なのであえてハッキリとテーマを明示しなかったわけです。太字できました^_^
 
 
■タイトル
 
今作の詳しい解説に移る前に、まずはタイトルについてのお話をしたいと思います。
 
「草々不一」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?「草が一つも生えない」とかそういうの想像した人はネット依存性なのでスマホ触る時間減らしましょうね。
 
 

草々不一
読み方:そうそうふいつ
別表記:草草不一

 その手紙が、時候の挨拶などの前文を省略した急なもので、十分に思いを尽くすことができなかったことを詫びるために用いられる結語。「前略」「冠省」「急呈」「急啓」「略啓」などの頭語と対応し、「早々」「不尽」「怱々不一」などの結語と同じ意味を持つ。「草々」と「不一」のどちらかが用いられる場合も多い。

(Weblio辞書より)

 
 
簡単に言えば「手紙の末尾に書くひとこと」って意味です。上にもありますが、「拝啓」ときて「敬具」と書く、みたいなアレです。「くさくさふいち」って呼んじゃダメですよ。
 
僕がこの言葉を初めて耳にしたのは、アニメ「物語シリーズ」に登場する羽川翼のセリフからでした。劇中、彼女が手紙をしたためるシーンがあり、その末尾にこの「草々不一」という言葉が使われていたのです。ちなみに僕はコンタクトでショートカットの羽川より眼鏡おさげの羽川の方が好きです。
 
今や電子に乗せて言葉を送る時代、わざわざ紙と筆を用意して言葉を届けることなんて滅多にないこのご時世ですが、そんな時代だからこそこういった古き良き言葉が輝くのではないかと思い、この言葉を元に曲を書き始めたわけでございます。改めて見返すと風情ある字面ですよね。皆さんも「iPhoneから送信」で締めくくるくらいなら「草々不一」って書いてみたくないですか?
…あ、Android…?ごめん……
 
 
 

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■MVについて
 

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今作に登場するふたりの男女。名前を航平美咲と言います。ざっくりな特徴については上記設定画の通りです。今作は全編、この航平くんの目線で物語が描かれています。
 
二人の名前の由来ですが、特に字や画数などに意味が込められているわけではなく、一発で男の子だ・女の子だとわかるような普遍的な名前にしようとしたことでこのような名付けになった次第でございます。劇中、航平くんが美咲ちゃんの名前を連呼するシーンがあるのでこの名前設定はそのシーンで活きてくるわけですね。
 
そして肝心の物語の詳細についてなんですが、それについてはあえてここでは明記しません。なんてこった!「楽曲解説ブログ」とはなんだったのか!
というのも、今回はストーリーを読み取って頂きやすいように作ったこともあり、それゆえ僕の方から全てを明かしまうのはなんだか野暮な気がしてしまったので今回は「MVたくさん見て考えてね!」ということで締めくくらせて頂きたいと思います。ー終ー
 
……と言うのはあまりに寂しいので、楽曲解説が出来ない代わりと言ってはなんですが制作の裏話についてお話させて頂きたいと思います。
 
今回は自身初のフルカラーアニメーションに挑戦ということで……とにかく非ッッッッッ常に大変でした。
キャラデザイン、絵コンテから含みで総作成期間約8ヶ月以上…どうやら一年の3分の2をこれに捧げてたらしいです。まったくそんな自覚ないです。
 

 

こちらプロジェクト開始当時のツイートです。
「coming soon…(大嘘)」
 
いままで線画をちょこまか動かす程度のアニメは作ってきましたが、ここまで本腰を入れてアニメを作ろうとしたのは正真正銘今回が初めてでしたし、分からないことだらけでとても新鮮な体験でした。と同時にアニメ作成の本当の難しさを垣間見た気がします。アニメーターはマジで偉大です。#違法アップロードを許すな
 
制作当初は不慣れゆえに基本的になかなか上手くいかない大変な制作で、なかでも一番辛かったのはわずか数十秒のワンシーンを描き終えるのに約1ヶ月かけて4回も描き直ししてしまったことですね。何を描いても何度描き直しても納得できずにもがき続けてたあの期間はいままでの創作人生を含めてもトップクラスに頭を抱えた期間でもあります。
しかしながらそういった悩みは後半になるにつれ段々と解消されていき、作業終盤はかなり筆が乗ってそれはそれはとても楽しく描けていた記憶があります。2番サビで互いが見つめ合うシーンだったり、ラストで航平が涙を拭うシーンだったりは比較的短期間で、それでいて上手に描けたのではないかと思えるお気に入りのシーンです。
 
いま完成品を見返すと「あぁ〜ここもうちょっとこうしたら良かったな」と反省点がいくつも出てきてしまってやっぱ一筋縄ではいかないなあ〜〜と思ったりもするのですが、こうして完遂できたことを思うと素直に感慨深いですね。よく頑張った自分、という気持ち。
 
 
■曲について
 
今作から少し作曲の仕方を変えてみました。というのは作曲ソフトを変えただとか打ち込む楽器の順番を変えただとかそういうことではなく、ひとつのジャンルに囚われない作り方をしようと考え始めたということです。
僕の今までの楽曲といえば、端的に「これはこういうジャンルだ」と言い切れてしまえるようなものが多くを占めていたと思います。または何かの具体的なオマージュだったり。それは新鮮味がなくて聴く側を退屈させてしまうのではないか?と思い始めたのがきっかけで、オリジナリティをより一層意識し、ちゃんと「新しいものを作ろう」という気持ちを持って臨むようにしたわけです。
今作は広義で言えばギターロックですが、その一言に囚われないギミックを沢山盛り込めたのではないかと自負しております。聴く人が「なんか新しい」と感じてくれたのなら嬉しい限りでございますが、いかがだったでしょうか?一方、「どこか懐かしい」と思ってもらえるような作風も目指していたので、そこを感じ取っていただけたらなおのこと感無量でございます。オリジナリティとノスタルジーの間を突くような作品が現在の僕の理想の形なので、これからもそういう路線でものを作れたらなあと思っております。
 
雰囲気としては全体的に夏っぽさを彷彿とさせるような作りになった訳ですが、これは一体いつごろ作られた曲なのでしょうか。
これ実は作り始めたのは去年の春頃、つまり2019年3月末から大切に大切に作り続けてた曲なんです。
今までにも"昔作りあげた曲(ストック)を引っ張り出して投稿する"ということは何度かありましたが、今回はそれらとは違い「作り続けてた」わけなので群を抜いて思い入れが詰まっているのです。総制作期間約1年…アニメ制作に負けない長期間制作をこちらでもしてしまっていました。
とはいえ大胆な改変はあまりしてなくて、むしろ微調整をめちゃくちゃ丁寧にし続けていたと言った方が正確ですね。なので大まかなところは制作当初からあまり変えていないのです。ギターも半分ぐらいは1年前に僕が弾いたものをそのまま使ってますし。でも長きに渡ってこの曲と対峙してきたことはやはり事実ですので、これを新曲と銘打って投稿するのは個人的にはちょっとだけ違和感を覚えることでもあるんです。僕にとってはもはや懐メロなんですよ。「親の声より聴いた曲」タグ付けようか迷いました。
 
■詞について
 
今作の詞は全編を通して口語調で構成されています。誰かに話しかけるような、言葉を届けるために語っているような、そんな書き方を心がけました。それは前述したように「物語ベースで曲を作ること」「航平目線の世界観で作ること」を意識したからというのが理由なわけですが。
 
それゆえに、今回は感情表現にかなり力が入りました。基本的に「悲しい」という感情を軸に詞が構成されている訳ですが、「悲しさによる虚無感」だったり、「悲しさによる怒り」だったり、「悲しさによる自暴自棄感」だったり、「悲しい」から派生されるさまざまな感情というのにもフォーカスして、より深い心理描写が出来たのではないかと思います。
そして同じくらい情景描写にも力を注いでおり、文を見ただけで風景が思い浮かぶような、そんな構成を目指して作詞に臨みました。中にはMVとセットでようやく意味を発揮するような表現も隠されていますので、詳しくストーリーを読み解きたいという方はMVと詞を上手いこと食べ合わせて考察して頂ければなと思います。
 
また、音やリズム的にも上手く抑揚をつけることが出来たのではないかと思っております。歌詞がぎっちり詰まったAメロ・Bメロでは音程の上下があまりないぶん耳心地の良い歌い上げにしようと思いリズム重視で作り、比較的歌詞が少ないサビではメロディアスで耳に残りやすいフレーズにしようと思い大胆な音程移動を施しました。
流れるようなAメロ・Bメロとドラマチックなサビの二段構造で、詞の印象を強いものにすることが出来たのではないでしょうか。
 
ちなみにアニメが制作期間8ヶ月、作曲が1年以上ときていますが、作詞に関してはわずか2日で書き終わりました。極端が過ぎる!
というか僕はいつも詞から曲を作り始めるので、この詞に込めた世界観全てを表現するためにはあとの行程であるところの作曲・MV制作はどうしても力を入れざるを得なかった、というのが正確なところなんですよね。なんてったってMVに投影したストーリーはすべてこの作詞段階で構想していたものなんですから。にしても作詞当時フワフワと思い浮かべてたものが1年越しにこうして形になったのですからやはり感慨深いと言わざるを得ません。なんか似たようなことさっきも言ったな。あまりに制作期間が長かったので作り終わったという実感を度々忘れてしまう…感慨深さを感じるのにもラグが起きちゃうんです。
 
 
 
【まとめ】
 
本楽曲は"別れ"をテーマにしたコンピレーションアルバム、「AIWAMARE」に収録されております。
一応表立ってはテーマに沿って曲を書き下ろしたという形ではあるのですが、お声掛けして頂いたタイミングが偶然今作制作中でして、結果的に「別れをテーマにした楽曲」という冠をつけてリリースすることが出来たというのが実の所なのでございます。後天的にテーマが付いたっていう前半の話はここの裏事情にも繋がってくるわけですね。
 
 
「AIWAKARE」は現在、メロンブックスさんにて委託販売をしておりますので興味のある方はチェックしてみてください。下記URLにて通販も行っています。友達が作った他の楽曲もめちゃくちゃ良いので是非とも!
 
 
 
さて、今回は僕の人生史上最大規模での制作の成果をお披露目した訳ですが、皆さんいかがだったでしょうか?作った本人である僕としてはなかなか頑張ったなあという気持ちでございます。とはいえ時間と成果が必ずしも比例する訳では無いとは思っているので、拙くなってしまった箇所は素直に受け止めて次に繋げたいと思いますし、なによりひとつの作品に8ヶ月以上打ち込むことが出来たというこの事実をいち創作者として誇っていきたいですね。
そしてこのブログを経てもう一度作品を見返していただけると、面白い発見が見つかるかもしれません。是非とも何度も観て聴いて楽しんで頂きたいです。
 
今作を作ったことによって長期スパンでものを作ることに慣れてしまった節があるので、これからの制作にどれくらいの熱量と時間を注いで臨んでいけばいいのかというのは地味に悩みどころなわけですが…いずれにしろ僕の好きなようにやるというスタイルは変わらないのでほどよく見守っていただければ僕は嬉しいです。
 
ただ最後に、ここまで読んでくださった方に向けて期待させるようなことを言うとするならば、
航平くんと美咲ちゃんの話はまだこれだけでは終わりません。
 
来る次回作をお楽しみに。
それでは。
 
 
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