TERAISM

テラです。曲や絵、動画などを作っています。

境内に猫ひとり

 

最近は湿気が強すぎて10分ギター弾くだけでネックが手汗でギットギトになります。どうもテラです。今回も愉快に楽曲解説やっていきましょう。

 

■概要

今作のテーマは「皮肉」。のちの作詞の項に重複するので、テーマに関する詳しい内容は後述します。
その前にまずはどういう経緯でこの曲が生まれたかということを綴ろうと思います。

そもそも僕という人間は、割と頻繁に神社へ足を踏み入れている類のものでして、神社というものを感覚としてかなり身近なものと捉えてるんです。家の近所だったこともあり、中学生の時には親によく朔参りへ連れてもらったりもしてて月一の頻度で境内の景色を見ていましたね。参拝の基本である「二礼二拍手一礼」は何度も何度も繰り返した結果、頭に刷り込まれました。校外学習で稲荷神社行ったとき、参拝の所作が適当な友達を見て「拍手の前に二礼しないとダメなんやで」とか条件反射で言っちゃたことがあります。そのぐらい刷り込まれました。ちなみに友達からは普通にウザがられました。

そして、僕が頻繁に訪れていた神社ではよく野良猫がうろついていたんです。なので僕の中では自然と「境内=猫の溜まり場」という式が成り立っていたんですよね。題名のワードチョイスはこういった経験が由来となっています。
そして、「一匹」ではなく「一人」と形容してる理由について、これも作詞に関するお話なので次の項にて解説いたします。



■詞

突然ですが、仏頂面の猫を見て皆さんはどう感じますか?可愛いって思います?それとも何も感じない?
僕は、「ナメられてるな」って思います。

いきなりひねくれた発言をしてごめんなさい。
でもちょっと想像してみてください。気だるげに佇み、常に眠そうな顔で、興味なさげにこちらを睨む猫ってなんだか人間を見下してるみたいに見えませんか?「あーなんか変なのがおるわ」って思ってそうじゃないですか?

そういった気付きをきっかけに、「人間を上から目線で皮肉る猫」を表現しようとしたのが今回の詞です。ここでテーマ回収。
人間っていうものは、自分を装うために猫を被るし、ちょっとの誘惑で簡単に誰かに惚れ込むし、でも結局は自分を一番溺愛してるし、平気で人に迷惑をかけるし、その当てつけに人を困らせたり腹立たせたりするし、行き詰まったらすぐ神頼みしたりするし…なんて愚かしい生き物なんだろうなあ。
みたいな、人間が人間たらしめるダメな部分を嫌味っぽく突っついてくる猫の独り言を描いた感じです。見返してみると、割と精神にグサッとくる表現が多いですね。僕も自分で書き綴っていながら「痛たたた…」となったりもしました。そこまで言わなくてもいいだろ猫……

でも確かに境内という空間に限って言うならば、手水舎で手を洗い、財布から大切な小銭を取り出し、それを賽銭箱に投げ入れ、鈴を大きく鳴らしたあと、二礼二拍手一礼する…なんていう人間の動作は猫側からしたら意味わかんないですよね。そりゃ変な奴らだなあって馬鹿にされても仕方ないのかもしれない。

しかしながら、今回の詞はおマヌケに猫が他の猫に惚れる描写で締めくくられています。
これはつまり、「お前も簡単に惚れてんじゃねえか!」というツッコミが出来るわけです。だから、結局は猫も人間と一緒、愚かで惚れっぽい生き物なんだということです。
そこがつまり「猫"一匹"」ではなく「猫"一人"」である所以なのです。

それに対し、最終サビでは「人は鳴く」という表現があります。これに関しては前述した主張の逆、または同じとも取れます。つまり「人間も猫と一緒」という考え方。人間だって誰かを見下したり、ゴロゴロと気ままに過ごしたりしますよね。つまり待遇を取れば「境内に人一匹」と題を付けることも出来るわけです。

愚かな人間を愚かしく思う猫は愚かなひとりの人間と変わりないし、それを見て愚かだなあって思ってる僕も愚かな一匹の猫と変わりない。猫vs人間の主張のぶつかりなんていうのは結局堂々巡りなんです。神社だけにね。(無理矢理感)



■曲

今作の曲調は和風ロックです。と言ってもクールなタイプのものではなく、おちゃらけた雰囲気の方です。軽快なバンドサウンドに加え、ブラスや木琴、パーカッションをふんだんに使い、スチャラカと賑わしい雰囲気にしてみました。前項で述べた通り歌詞が結構辛辣なので、それとは裏腹にノリノリの曲調を乗っけたことで大きなギャップを与えられたのではないかと思います。

そして今作はテラの作品史上初のデュエットソングです。前からボーカロイドを2人起用することに憧れを持っていたので、今回念願が叶って嬉しいです。個人的な聞きどころはサビ終わりに「にゃんにゃん」と歌っている箇所です。作者はここ聴くたびに可愛さに悶絶してます。あーもうか〜わいッッ
それと、「ひとり」ってタイトルについてるのにふたり歌ってるじゃん!ってことに関してはスルーして頂けると幸いです(あとから気付いた)

 


■絵・動画

 

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絵に関して詳しい話をしますと、
背景には細かな描き込みを、キャラには比較的ラフな描き込みを施したことで双方の印象にギャップを与え、背景に対し登場人物がポップに浮き出るよう調整致しました。アニメのワンシーンみたいなイメージを目標に描いてみましたが、いかがでしたでしょうか。

人物は巫女さん一人、その周りで群がる猫たち、それをぶすっとした表情で俯瞰する一匹(一人)の猫。
曲と同様に今回はイラストも賑やかに仕上げました。個人的には、シーンごとにコロコロと表情を変える巫女さんがお気に入りです。慌てふためく「人」とのんびり過ごす「猫」の対比が上手くいったんじゃないかなあと思います。

今回の絵では僕がこの歌で伝えたかった情景を鮮明に再現できたのでとても満足しています。最近になってようやく「絵に対する満足感」をちゃんと得られるようになった気がしているので、この調子でどんどんイラストの精度を高めながら満足感を培っていきたいですね。


動画に関して。最近は他クリエイターさんの動画編集をお手伝いをしたりもして、徐々に「動画師・テラ」の印象を広げられていってるのではないかと思っております。だからその想いも込めて、ちゃんと「見れる作品」を作ろうという気で最近は動画編集に臨んでおります。

今回は和っぽいカットを随所随所に挟み、曲調に合った日本風な印象を施してみました。紅色、便利なのでこれからも和風を意識する演出の時はまた使いたいなと思います。そして、実はほんのちょっとだけ「化物語」の影響を受けてたりしてます。黒駒、みたいなアレです。最近はインプット感覚でアニメ見ちゃいますね。シャフトはいいぞ。


■まとめ

前回の楽曲解説での「月イチペースで投稿したい」という発言に反して2ヵ月近くお待たせしてしまった今回ですが、いかがでしたでしょうか。1ヶ月分の遅れはちゃんとクオリティに反映されてましたかね…?というか、僕の「投稿頻度上げたいな」っていう発言はだいたい信用ならないんでもうこれから先は極力言わないようにします(戒め)
※ちなみに前作が「犬」で今作が「猫」という流れ、実は全く狙ってなかった偶然です。ミラクル動物シリーズ。

今回は「神社」「猫」といった視覚的なテーマと、「人間に対する皮肉」という感覚的なテーマの中庸を上手く取れたのではないかと自負しております。デザイン性の力とメッセージ性の力を兼ね備えた感じで、曲としての存在圧がかなり強くなったように僕は思っています。この構成は作ってて楽しいのでまたこれから出すであろう作品でも同じような作り方で挑戦してみたいですね。

神社というのは面白いもので、鳥居をくぐり、参道を通ってお宮で参拝、そして来た道を戻り鳥居から出ていく…というこの一連の流れは「生まれ変わり」を意味しているらしいです。参拝には、人々の汚れた心を浄化する効果を持っているんだそうな…
そんなカタルシスにも似た効力がもしこの曲にも宿っていたなら、作者冥利に尽きる思いです。どうかまた再生ボタンを押して参拝に来て頂けると幸いです。お賽銭も、二礼二拍手一礼も不要です。大量の猫、そして一人の猫とともに境内でお待ちしています。

次作もお楽しみに。
それでは。